対象に触れないまま厚みを測定できる非接触厚さ計には、X線・超音波・レーザー・赤外線など複数の方式が存在します。本記事では、非接触厚さ計の仕組みや特徴を、「測定方式」と「使用形態」それぞれの切り口から解説。自社の測定ニーズに合った方式を見極めるための比較検討ポイントをご紹介します。
X線(放射線)の透過減衰を利用して素材の厚みをμm単位で測定する厚さ計です。高速ライン上でも連続的に品質を監視でき、黒色フィルム・金属箔・多層構造体など、光学式では難しい素材にも安定して対応可能です。
黒色材や散乱体の安定測定、多層構造の層厚管理、高速ラインでのリアルタイム制御など、難しい条件でも使える非接触厚さ計を探している方にとって、X線方式は有力な選択肢といえます。
超音波方式は、一般的には探触子(プローブ)を対象物に接触させて、内部からの反射時間をもとに厚みを算出する方式です。塗膜や防錆層を剥がさずに基材の厚さを確認できるため、配管・タンク・建材などの検査やメンテナンス用途で広く使われています。
空気中を媒体として超音波を伝える「非接触型」の超音波厚さ計も存在しますが、用途は限定的であり、通常は接触型を前提に検討されるケースが大半です。
操作性やコスト面での優位性がある一方、高速搬送やリアルタイム観測には不向きな側面もあります。導入の可否は、測定対象や現場の条件をふまえて判断する必要があります。
レーザー光の反射を利用して、対象物の厚みを非接触かつμm単位で測定する厚さ計です。上下センサで距離差を取ることで、金属・樹脂・ガラスなど幅広い素材に対応可能。特に、静止状態での高精度寸法測定に適しています。
測定対象に接触せず、寸法の再現性が高いため、自動車部品の検査や研究用途など形状精度が重視される工程で導入が進んでいます。連続搬送や上下動のある環境では誤差が生じやすいため、運用条件との適合確認が重要です。
素材が持つ赤外線吸収特性を利用した厚さ計です。多層構造や機能性フィルムにおいて特定層の厚みを選択的に把握でき、食品包装・医療用資材・電池材料といった現場で活用されています。
非破壊・リアルタイムでの測定が行える一方で、赤外線を吸収しない素材には不向きな点や、温度・外光といった環境影響への配慮も必要です。
携帯性・操作性に優れた持ち運び可能なモデルで、現場点検や出張作業など、固定機器では対応が難しい場面で用いられる厚さ測定機器です。シンプルな操作と即時表示が可能な設計が多く、初心者でも扱いやすいというメリットがあります。
反射分光法による膜厚計や白色光干渉によるポータブルセンサなど、軽量ながら多様な素材への対応力を備えた製品が多く登場しています。
一方で、すべての素材や環境に適しているわけではありません。測定対象の材質や環境条件を明確にした上で、適した方式の厚さ計を選定することが求められます。
視認性と操作性に優れ、読み取りミスを防ぎたい現場や初心者の使用に適している厚さ計です。ゼロリセットや自動校正(こうせい)といった補助機能を備えたモデルも多く、点検・保全・出張測定の効率化に貢献します。
すべての素材・条件に万能ではないため、使いやすさだけで選ぶのではなく、「何を、どのように測るか」から方式を見極める視点が欠かせません。
Q 同じ材料でも、静止して測るか搬送中に測るかで選ぶ厚さ計は変わりますか?
変わる場合があります。
レーザー方式は静止物や揺れの少ない対象で高精度を出しやすい一方、X線方式は高速搬送や振動がある連続ラインでも安定した測定に向いています。 材質だけで方式を決めず、対象が動くか、ライン上で連続監視したいかまで整理して比較することが大切です。 必要精度、対象材料、厚み範囲を分けて見ると、搬送状態や測定環境が結果へ与える影響も切り分けやすくなり、自社工程に必要な測定方式を絞り込みやすくなります。
Q 多層フィルムは、全体の厚みと各層の厚みで選ぶ方式が変わりますか?
測りたい値によって適する方式が異なります。
シート全体の厚みや面密度を安定して監視したい場合はX線方式が候補になり、特定の樹脂層やコーティング層を分けて確認したい場合は赤外線方式が向いています。 「製品全体」なのか「特定層」なのかを先に決めておくと選びやすくなります。 必要精度の数値や有無だけでは判断しにくく、対象材料・厚み範囲・搬送状態・測定環境も比較要素に含めると、自社工程に必要な測定方式を絞り込みやすくなります。
Q 黒色・光沢・透明など、見た目の違いは厚さ計選びに影響しますか?
影響します。
レーザーや光学式は表面の反射性や透明性の影響を受けることがあり、黒色材や散乱体では測定が不安定になる場合があります。 一方、X線方式は色や光沢の影響を受けにくい点が特徴です。 実際の材料表面や色を前提に、安定して測れる方式かを確認することが重要です。 必要精度と対象材料に加え、厚み範囲、搬送状態、測定環境までを実際の運用条件として分けて評価すると、自社工程に必要な測定方式を絞り込みやすくなります。
Q ハンディタイプとライン組み込み型は、どのように使い分ければよいですか?
点検や出張測定、複数箇所をスポットで確認したい場合はハンディタイプが使いやすくなります。
一方、全数監視や厚み変化をリアルタイムで工程へフィードバックしたい場合は、ライン組み込み型が向いています。 測定頻度と、測定結果をその場で確認するだけか工程制御まで使うかで選ぶとよいでしょう。 必要精度、対象材料、厚み範囲の優先度は案件ごとに変わるため、搬送状態と測定環境も合わせて見ると、自社工程に必要な測定方式を絞り込みやすくなります。
Q 仕様表だけで方式を決めず、実際の材料でテストしたほうがよいですか?
実際の材料で確認できるのであれば、導入前のテストは有効です。
同じ材質名でも、色・表面粗さ・層構成・搬送時の揺れなどで測定の安定性が変わることがあります。 必要精度を満たせるかだけでなく、ライン速度や設置距離を含め、自社の使用条件に近い状態で確認すると選定ミスを減らしやすくなります。 比較の前提として必要精度・対象材料・厚み範囲・搬送状態・測定環境を切り分けて整理すると、自社工程に必要な測定方式を絞り込みやすくなります。
非接触厚さ計は、計測対象となる材料や厚み・範囲、用途に合ったタイプを選ぶことが大切です。
ここでは、計測対象別に適した非接触厚さ計3製品を
紹介していきます。