超音波方式の非接触厚さ計とは

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超音波方式の非接触厚さ計は、音波の伝播特性を利用して対象物の厚みを測定する方式です。一般には接触式が主流ですが、非接触式も特殊用途で活用されています。

本記事では、超音波方式の特徴や測定原理、活用されている業界についてご紹介します。

超音波方式の非接触厚さ計とは

内部反射を利用して素材の厚みを非破壊で測定する厚さ計です。多くのモデルでは、探触子を対象物に接触させて測定する「接触式」が主流となっていますが、近年では、空中を伝わる音波やレーザーによって非接触で測定を行う技術も開発されています。

  

非接触式は、高温で触れられない部材、表面に接触できない精密な素材、裏面にアクセスできない構造材など、接触が困難な測定対象に対して有効です。接触式に比べて導入シーンは限られるものの、特定の条件下での厚さ測定に対応する手段として注目されています。

超音波方式の非接触厚さ計の
測定原理と特徴

測定原理

超音波方式は、対象物に向けて発信した超音波が内部で反射して戻ってくるまでの伝播時間をもとに厚みを算出します。一般的なパルス反射法では、探触子から出た超音波が素材中を伝播し、裏面で反射して戻るまでの時間と、素材ごとの音速を掛け合わせることで、厚さを算出可能です。

接触式では、探触子と対象物の間にカプラント(媒質)を挟んで音波を伝達しますが、非接触式では空中超音波やレーザー超音波などの技術を使って測定を行います。

主な特徴

 

非破壊で内部まで測定可能

多くの超音波厚さ計は、対象物に直接探触子を当てて厚みを測定します。接触式であっても、内部の裏面反射を検出する形で測定を行うため、塗装材や防食層を傷つけずに内部厚みを確認する用途に適しています。

非接触式は一部用途に限られる

非接触式の超音波厚さ計も存在しますが、空中を伝播する超音波は大きく減衰するため、適用できる場面は限定的です。

空中超音波では低周波の共振法、レーザー超音波では光学干渉計による検出が用いられますが、いずれも装置が大型化しやすく、環境条件の影響を受けやすいため、連続生産ラインや高速搬送下での使用には制約があります。

導入コスト・操作性に優れる

超音波方式の厚さ計はハンディタイプも多く市販されており、初期導入コストが抑えられる傾向にあります。また、操作も比較的容易です。

特に接触式はポータブルで堅牢な製品が多く、現場作業者による点検業務や設備保全の場面でも広く用いられます。

活用されている業界・用途

対象物の内部厚みを測定できる超音波方式は、対象へのダメージを避けつつ内部の構造情報を取得できることから、以下のような現場で活用が広がっています。

  • 金属板のスポット測定・非破壊検査
    (接触困難な箇所の点検)
  • 塗膜・コーティング材越しの厚さ測定
  • 複合材の一部層の厚さ確認(多層構造に対応)
  • 裏面アクセスが困難な構造部材の検査
  • 設備メンテナンス現場での非接触・簡易測定

たとえば、腐食の進行が懸念される配管やタンクでは、表面の塗装を剥がすことなく内部の金属厚を確認できる非接触式の超音波厚さ計が有効です。また、複合材のように裏面に触れられない構造でも、反射波をもとに内部厚みを把握できるため、建材・成形品など多様な場面で利用されています。

超音波方式の厚さ計を求める際には、接触式と非接触式のどちらが適しているかを検討することが重要です。

他方式との比較・検討ポイント

レーザー方式はμm単位の高精度測定が可能で、静止物や反射性の高い表面に適していますが、黒色材や粗面では反射光の安定性が課題となります。赤外線方式は透明・多層フィルムに対応しやすく、層別に厚さを評価できる強みがありますが、金属など赤外線を吸収しない素材には向きません。

X線方式は素材の色や表面状態に左右されにくく、黒色や散乱性の高いフィルムにも対応可能ですが、放射線管理や遮蔽設計が必要です。

これに対し、超音波方式は、金属や厚板の非破壊検査に使われることが多く、構造が比較的シンプルで携帯型も豊富なため、点検・保守業務での導入が進んでいます。一方で、接触式が主流であることから、ライン上の高速搬送物や、リアルタイム制御を伴う連続測定には不向きです。

非接触モデルも存在しますが、設置条件や素材の制約が多く、振動・揺れ・複雑形状に対する追従性は限定的です。測定対象が薄膜や多層構造、黒色フィルム、または連続ライン上の動的な対象である場合は、レーザー・赤外線・X線方式など、別の非接触厚さ計方式の検討が推奨されます。

超音波方式を選ぶべき現場と
判断ポイント

 
設備点検や内部構造の
確認に有効だが、
生産ライン用途には
慎重な選定が必要

超音波方式の非接触厚さ計は、音波の反射時間から厚みを算出する非破壊検査手法の一つ。点検やスポット測定を中心に、設備保全や製品検査の領域で広く導入されています。塗膜越しに基材の厚さを測定できるなど、内部構造へのアクセスが難しい場面でも活用されており、金属・樹脂・複合材といった多様な素材に対応できます。

一方で、非接触式は一部の特殊用途に限られ、接触式が主流です。また、連続生産ラインや高速搬送物には適しません。導入コストや操作性に優れる反面、使用条件や精度要件に応じて、他方式との比較検討が不可欠です。

非接触厚さ計といっても、計測対象や求める精度によって適した方式は異なります。導入成果の最大化には、使用環境に合った製品選びが重要です。
このサイトでは、「連続生産されるシート材を安定して測定したい」「材質ごとの反射率に左右されず測定したい」「多層構造の膜厚を正確に評価したい」といった計測の対象と目的に応じて選べる非接触厚さ計3選を紹介しています。
特徴や対応方式を比較しながら、自社に合ったモデル選びのヒントとしてご活用ください。

 
【計測対象別】
非接触厚さ計3選

非接触厚さ計は、計測対象となる材料や厚み・範囲、用途に合ったタイプを選ぶことが大切です。
ここでは、計測対象別に適した非接触厚さ計3製品を
紹介していきます。

連続生産ラインの
薄物シート材なら
『SX-1100』
ナノグレイ
  • 放射線式

    X線やβ線を素材に照射し、透過した放射線量から厚さを算出。
    振動や素材の色に影響されず、安定した非接触測定が可能。

    【こんな用途におすすめ】

    材質が透明・半透明(フィルム、ガラス)、黒色・光沢のあるものを計測したい。
    高速搬送や振動がある連続ラインで、薄物シートのリアルタイム監視を行いたい。

    放射線式
放射線式
揺れ・素材に強い
汎用型モデル
  • 物質を透過し測定するX線式を採用しているため、黒色材、散乱体など素材を選ばず「透過測定」が可能
  • 高感度・高速応答の放射線検出方法「シンチレーション検出器」採用で、金属箔など薄物の搬送系での精度±0.1μmを実現
搬送で揺れのない
厚物シート材なら
『thicknessGAUGE C.LL』
Micro-EpsilonJapan
  • レーザー式

    上下のレーザー変位センサで表面距離を測定し、その差から厚さを算出。
    非接触でμm単位の高精度測定が可能。

    【こんな用途におすすめ】

    金属・薄いプラスチックで放射線を避けたい。
    静止または揺れの少ない搬送環境で正確に測りたい。

    レーザー式
レーザー式
剛体向け
高精度モデル
  • 揺れのない対象物に精度の高い計測ができる「三角測量方式」を採用し、システム
    精度±1/±5μmを実現
  • 金属・木材・プラスチックなど、一般的な工業材料に対応し、材質ごとの反射率の違いに左右されにくい安定した測定ができる
化学組成の異なる
多層フィルムなら
『赤外線極薄厚さ計IRMT01』
チノー
  • 赤外線式

    素材が特定波長の赤外線を吸収する性質を利用し、層ごとの厚みを測定。
    多層フィルムの非破壊・非接触測定に向いている。

    【こんな用途におすすめ】

    コーティング膜や電池電極など多層を見分けたい。
    極薄膜をリアルタイムでモニタリングしたい。

    赤外線式
赤外線式
薄膜対応の
層別測定特化モデル
  • 表面反射を除去して精度を高める「P偏光正反射方式」により、異なる化学組成の層を識別しやすい
  • 10µm以下の極薄膜に対応し、28msの高速更新周期でインライン厚み管理が可能。リアルタイムに変化を把握でき、工程調整や不良発生を抑制