フィルムの厚さ測定方法

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フィルムの厚さ測定は、光学フィルム・包装フィルム・多層バリアフィルム・電池セパレータなどの製造・加工において、品質や工程を管理するための重要な検査項目です。しかしフィルムは薄く、柔らかく、高速で搬送されるうえ、透明・黒色・金属蒸着など光学特性も多様です。そのため、対象物や測定条件に応じて適した方法を選ぶ必要があります。

この記事では、フィルムの厚さ測定に用いられる接触式・非接触式の方法を整理し、フィルムの特性や測定環境に応じた方式の選び方を解説します。

フィルムの厚さ測定が難しい3つの理由

フィルムの厚さを適切に測定するには、フィルム特有の性質を考慮する必要があります。ここでは、方式選定に関わる代表的なポイントを紹介します。

薄く、測定圧で変形しやすい

包装フィルムや電池セパレータなどには、μmオーダーの薄いフィルムがあります。柔らかいフィルムでは、マイクロメータなどで挟んだ際の測定圧によって変形し、測定値に影響する場合があります。フィルムの材質や厚さに応じて、測定圧の影響を考慮することが重要です。

高速搬送で連続測定が必要になる場合がある

フィルム製造ラインでは高速搬送が行われるため、走行中の厚さを連続的に測定し、厚さのばらつきを管理したいケースがあります。抜き取り検査だけでは把握しにくい面内や流れ方向の変動を確認するには、インライン測定に対応した測定方法が選択肢になります。

透明・黒色・多層など特性が多様

フィルムには透明・半透明・黒色・金属蒸着など、さまざまな光学特性を持つものがあります。レーザーなどの光を利用する方式では、対象物の反射や透過の特性によって測定のしやすさが変わります。また、多層フィルムでは総厚だけでなく各層の厚さを管理する必要がある場合もあります。

【接触式】フィルムの厚さ測定方法

接触式は、測定子をフィルムに接触させて厚さを測る方法です。抜き取り検査や工程確認などに利用できますが、フィルムの変形や測定位置などに注意が必要です。

マイクロメータ・シックネスゲージ

マイクロメータやダイヤルシックネスゲージは、フィルムの厚さを確認する方法の一つです。測定器の種類や仕様に応じて、フィルムやシートなどの厚さを測定できます。抜き取り検査や工程間の確認など、手動で厚さを確認する用途に適しています。

一方、柔らかいフィルムでは測定圧によって変形する場合があります。また、手動で測定するタイプは、走行中のフィルムを連続的に測定する用途には適していません。

触針式膜厚計・段差計

触針式の測定器は、触針を表面に接触させて段差を測定する方法です。成膜部とマスキング部などの段差から、薄膜やコーティングの厚さを評価する用途に利用されます。微細な段差を高い精度で評価できる一方、触針の接触による影響や走査時間を考慮する必要があります。

【非接触式】フィルムの厚さ測定方法

非接触式は、フィルムに測定子を接触させず、光や放射線などを利用して厚さを測定する方法です。フィルムの変形を抑えやすく、方式や装置構成によっては走行中の連続測定にも対応できます。

分光干渉方式

フィルムの表面や層の界面で反射した光の干渉を利用して、厚さを測定する方式です。透明・半透明フィルムや多層膜など、光学特性を利用して測定できる対象に用いられます。製品によっては、透明フィルムや多層膜の各層を分けて測定できるものもあります。

一方、光を利用するため、対象物の光学特性や表面状態などが測定結果に影響する場合があります。実際に使用するフィルムで測定できるか、事前に確認することが重要です。

レーザー式

フィルムの表面にレーザーを照射し、表面までの距離を測定して厚さを算出する方式です。上下に2台のレーザーセンサを配置する構成では、それぞれの表面までの距離からフィルムの厚さを求めます。

不透明で反射が安定した樹脂フィルムや紙などでは、比較的高速な厚さ測定に利用できます。一方、透明フィルムでは表裏の反射を分離しにくい場合があり、黒色や金属蒸着フィルムでも測定条件によっては適さない場合があります。

放射線式(X線・β線)

X線やβ線がフィルムを透過するときの減衰量を利用して、厚さを測定する方式です。フィルムの色や表面状態の影響を受けにくいことが特徴で、フィルムや薄い金属箔などの連続生産ラインでの厚さ管理にも利用されています。

光を利用する方式では測定が難しい対象でも、放射線式が候補になる場合があります。ただし、測定対象の材質や厚さ、装置仕様によって適性が異なるため、実際のフィルムを用いた測定評価が必要です。

放射線式を導入する場合は、線源の種類や装置の仕様、設置条件などに応じて、法令上の手続きや安全管理が必要になる場合があります。導入前にメーカーなどへ確認しましょう。

赤外線式

フィルムを構成する素材が特定波長の赤外線を吸収する特性を利用して、厚さを測定する方式です。多層フィルムや樹脂コーティングなど、素材ごとの吸収特性を利用できる対象では、層別の厚さ測定に対応できる場合があります。

一方、材料によって赤外線の吸収特性が異なるため、すべてのフィルムを同じ条件で測定できるわけではありません。事前に材料の分光特性を確認し、測定可能か評価する必要があります。

フィルムの厚さ測定で非接触式が適するケース

フィルムの性質や製造工程によっては、接触式よりも非接触式が適する場合があります。代表的なケースは次のとおりです。

走行中のフィルムを連続測定したい

生産ラインを流れるフィルムの厚さを連続的に測定したい場合は、インライン測定に対応した非接触式が選択肢になります。測定データを工程管理に活用することで、厚さの変動を継続的に確認できます。

接触による変形や傷を避けたい

薄く柔らかいフィルムや、表面状態を維持する必要があるフィルムでは、測定子を接触させることが測定結果や製品に影響する場合があります。非接触式なら、測定子による接触を避けながら厚さを測定できます。

多層フィルムの各層を管理したい

多層フィルムでは、製品全体の総厚だけでなく、構成する各層の厚さが管理対象になる場合があります。その場合は、分光干渉方式や赤外線式など、層別測定に対応した方式を検討します。対応できる層構成や材質は方式・製品によって異なるため、事前の評価が必要です。

フィルムの非接触厚さ計を選ぶ3つのポイント

フィルムの材質・光学特性を確認する

透明・半透明・黒色・金属蒸着など、対象フィルムの材質や光学特性によって適した方式が変わります。メーカーにサンプルを提供し、実際のフィルムで測定評価を行うと、方式の適合性を確認しやすくなります。

搬送速度・設置環境を確認する

インライン測定では、搬送速度やフィルム幅に加えて、パスラインのスペース、振動、温度、粉塵などを確認する必要があります。必要な測定範囲や設置条件を整理したうえで、装置構成を検討しましょう。

総厚・層厚・ばらつきなど管理項目を明確にする

厚さの絶対値を管理したいのか、面内や流れ方向のばらつきを確認したいのか、各層の厚さを管理したいのかによって、適した測定方式は異なります。「何を測定し、どのように品質管理へ活用するか」を先に整理しておくことが、機種選定のポイントです。

フィルムの厚さ測定は「材質・構造・工程」から方式を選ぶ

フィルムの厚さ測定では、薄さや柔らかさだけでなく、透明・黒色・金属蒸着などの光学特性、多層構造の有無、搬送条件などを考慮して測定方法を選ぶ必要があります。抜き取り検査や工程確認には接触式が利用される一方、走行中の連続測定や接触による影響を避けたい場合には、非接触式が選択肢になります。

非接触厚さ計にも、レーザー・放射線・赤外線・分光干渉など複数の方式があります。自社のフィルムを実際に測定し、必要な精度や測定範囲、設置条件に適した方式を比較検討することが重要です。

【計測対象別】
非接触厚さ計3選

非接触厚さ計は、計測対象となる材料や厚み・範囲、用途に合ったタイプを選ぶことが大切です。
ここでは、計測対象別に適した非接触厚さ計3製品を
紹介していきます。

連続生産ラインの
薄物シート材なら
『SX-1100』
ナノグレイ
  • 放射線式

    X線やβ線を素材に照射し、透過した放射線量から厚さを算出。
    振動や素材の色に影響されず、安定した非接触測定が可能。

    【こんな用途におすすめ】

    材質が透明・半透明(フィルム、ガラス)、黒色・光沢のあるものを計測したい。
    高速搬送や振動がある連続ラインで、薄物シートのリアルタイム監視を行いたい。

    放射線式
放射線式
揺れ・素材に強い
汎用型モデル
  • 物質を透過し測定するX線式を採用しているため、黒色材、散乱体など素材を選ばず「透過測定」が可能
  • 高感度・高速応答の放射線検出方法「シンチレーション検出器」採用で、金属箔など薄物の搬送系での精度±0.1μmを実現
搬送で揺れのない
厚物シート材なら
『thicknessGAUGE C.LL』
Micro-EpsilonJapan
  • レーザー式

    上下のレーザー変位センサで表面距離を測定し、その差から厚さを算出。
    非接触でμm単位の高精度測定が可能。

    【こんな用途におすすめ】

    金属・薄いプラスチックで放射線を避けたい。
    静止または揺れの少ない搬送環境で正確に測りたい。

    レーザー式
レーザー式
剛体向け
高精度モデル
  • 揺れのない対象物に精度の高い計測ができる「三角測量方式」を採用し、システム
    精度±1/±5μmを実現
  • 金属・木材・プラスチックなど、一般的な工業材料に対応し、材質ごとの反射率の違いに左右されにくい安定した測定ができる
化学組成の異なる
多層フィルムなら
『赤外線極薄厚さ計IRMT01』
チノー
  • 赤外線式

    素材が特定波長の赤外線を吸収する性質を利用し、層ごとの厚みを測定。
    多層フィルムの非破壊・非接触測定に向いている。

    【こんな用途におすすめ】

    コーティング膜や電池電極など多層を見分けたい。
    極薄膜をリアルタイムでモニタリングしたい。

    赤外線式
赤外線式
薄膜対応の
層別測定特化モデル
  • 表面反射を除去して精度を高める「P偏光正反射方式」により、異なる化学組成の層を識別しやすい
  • 10µm以下の極薄膜に対応し、28msの高速更新周期でインライン厚み管理が可能。リアルタイムに変化を把握でき、工程調整や不良発生を抑制